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この世界からいなくなる。その言葉に尊は激しく動揺し、涙を流す。
「そんな事……言わないでくれよ……君がいなくなったら、君のお父さんとお母さん、それに……」
「大丈夫……私が消えれば、私がいたこと自体この世界からなかったことになるの……だから悲しむことはないわ」
「君はそれでいいの……、寂しくないの……」
「あのね、最後にどうして宮原君に話したか教えるわ」
「え?」
「この期間を経た事で私は人間に生まれ変わる事がいつかできるの」
「それと僕はなんの……関係があるの……」
「話していいのは生まれ変わった時に近しい関係になる人間のみ、それが結婚相手か子供か孫かは分からないけど、また宮原君に会う事ができるの」
「え?」
「短い間だったけど宮原君に会えてよかった」
「真木さんこれ見てよ、昨日のテスト、僕……理科苦手だったけど、真木さんが勉強を教えてくれて……それで……!」
「宮原君、頑張ったのね、じゃあね、また会おうね」
その言葉と共に、沙織は姿を消し、同時に尊の記憶にも変化が訪れた。
「僕、どうしてここに……なんで泣いているんだろう……」
尊の記憶からも沙織は消えたが、何かは尊の中に残った。2人は次にどういう形で会うのか?
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