1.繁華街の夜

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さて、ここからが問題だ。 すずを捕まえたはいいが、後先考えずの行動だったから、親父を追い払った後の計画がまるでない。 そしてメインのこっちは、まだ『すず』本人だとも認めていない。 噛みつくような形相で俺を見ている。 さて、どうしたもんか――、 「おい、すず」 「……」はい、ガン無視。 「おい、すず」 「……」 だんまりだ。 「おい、返事くらいしろよ、助けてやっただろ?」 「頼んでない」 はい、そうですね。確かに、俺は頼まれてはいない。 でも見過ごすわけにもいかなかった。 「おい、リンちゃん」 「リンちゃん呼ぶな!」 「なんだよ、呼んでいいって言っただろ?」 「あんたに言ってない」 「あんた、ねぇ~」 毛を逆立てた猫の様。 すずと俺の年齢差はたしか10か11歳くらいだったはず。 あの頃、俺はお祭りですずによく泡玉の飴をあげていた。 ばぁちゃんが好きで家にたくさん置いてあったっていうのも理由の一つだったけど、一時、レアのレインボーカラーみたいなのが中に混ざってることがあって、すずはよくそれを欲しがっていた記憶がある。 すずはとてもかわいかった。 素直で可愛かったという意味だ。 今のガン飛ばし姿から面影を探すのが難しそうだけど、いつも目をキラキラさせて喜んでいたのを俺は今でも覚えている。
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