1.繁華街の夜

10/22
前へ
/457ページ
次へ
「おい、泡玉買ってやるからついてこい」 「……」 眉がピクリと動いたのを俺は見逃さなかった。 もう一押し、 「ほれ、あの~なんだっけ、あのレアの……」 「……」 「レアの……レアの……」 ある意味わざとのしどろもどろ 「レインボーカラー!」 「ほら、知ってんじゃん」 「欲しいんだろ?」 「……」 「買ってやるからついてこい」 「いくつだと思ってんだよ!」 「ほら、やっぱりすずじゃん」 「アホくさっ、柊ちゃん、頭にウジでも湧いてんじゃねぇの?」 「なんだよ、やっぱりわかってんじゃねぇか、柊ちゃんか、懐かしい呼び方だな。俺も久々に呼ばれたわ、その呼び名で」 「もうおっさんだもんね」 「おっさん言うな、おっさん」 「私から見たらおっさんだよ」 「女子高生と比べたらな、みんなおっさんだな。でも俺はその括りにはまだ入らない。間違えるな」 「勝手な理屈」 「ほら、コンビニ行くぞ」 観念したのかすずはもう逃げたりしなかった。
/457ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加