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「ねぇ、柊ちゃん、私高校一年生になったんだよ」
「え?あぁ……、高校生になったんならもっと健全なバイトしろよ」
「柊ちゃんはわかってないよね」
「え?」
「普通のバイトなんかじゃ足りないよ」
「え?」
「毎月払わないといけないお金と、生活するためのお金がいる」
「お前、生活費まで払ってるのか?」
「自分のためだよ」
「……」
「欲しいものがあっても買ってもらえないなら、自分で何とかするしかないでしょ」
「……」
「おまけに、中学卒業しちゃったから給食だってなくなっちゃった。お昼のお金だって、あの人はあてに出来ない」
「万里子さん、働いてないのか?」
「仕事はしてるよ。でもそれは私の為じゃない。自分のために働いている。そして男のためにね」
「……」
「あの人は男に狂ってるから何の期待もしていない。むしろ、消えて欲しい。私一人の方がどんなに楽か――」
「すず、お前……」
「あ~、変な同情はしないで。聞かれたから答えただけだし、別に柊ちゃんにどうこうしてほしいとか思ってないから」
「……」
予想以上の重たい内容に、俺はショックを隠せず言葉を失った。
そしてそのタイミングでいい匂いのハンバーグが登場。
「いただきま~す」と笑顔で手を合わせたすずと、援助交際してお金を稼ごうとするすず。
同じ人物だなんて到底信じられない。
俺は夢でも見ているのだろうか――、
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