1.繁華街の夜

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「デザートも食うか?」 そう声をかけたのは、別にすずに同情したからではない。 ただもう少し、もう少し一緒にいるべきだ、 もう少し話をするべきだ――、 そう思ったから言っただけだ。 「柊ちゃんのそれ、一口ちょうだいよ」 そう言って立ち上がり、無理矢理自分のスプ―ンを俺のアイスに突っ込もうとするすずは、楽しそうに笑っていた。 全く数時間前とは別人の顔をして――、 俺も久しぶりに笑った。 何て言うか、無防備な自分。 飾らない自分、疲れない自分、 うん、それだな、そんな気がする。 でも、どんなにそれが楽しく、笑いに満ちた時間だったとしても、終わりは必ずやってくる。 ずっとはここにいることはできない。 ここにはいられない。 すずだって、本来ならばもう家に帰らねばならない時間だ、 だが――、果たしてすずはこの店を出たら、真っすぐ家に帰るのだろうか? 疑問が残る。 そうなると俺もなかなか最後の言葉を口に出せないでいた。
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