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「なんなんだよ、お前は」
「え?」
突然声を荒げた俺にすずも、そして俺自身も驚いていた。
「このまま、もう会わないつもりだろ?」
自分でも何を言っているんだろうか――、
会うも会わないもない。
俺達はずっと会ってなかった。
それが当たり前だった。
なのに、俺はそれを許せないでいた。
すずが戸惑っている。
「柊ちゃん、変だよ、どうかしたの?」
そりゃそうだ。俺は変だ。
俺が一番わかっているし、戸惑っている。
俺はどうかしちまった。
よく考えもせずに、いったい何をくちばしってるんだか――、
「柊ちゃん?」
「あー、うん。なんでもないわ」
「そうなの?」
「あぁ…………、とにかくこれ持ってろ」
「え?」
すずに握らせたお金。
すずがあの胸糞悪い親父からもらおうとしていたお金。
「いいって言ったのに――、」
返そうとするすずから、一歩後ろに下がって距離をとる。
「いいんだ。持ってろ……」
「でも――、」
まだ何か言いたげなすずに俺は――、
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