1.繁華街の夜

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「明日――、」 「え?」 「飯を食うんだよ、ここで」 「え?」 ポカンとしているすずに俺はまくしたてるように話しまくる。 「今日は俺がご馳走したから、明日はさっきの金ですずが払え」 ジャイアン的な発言だと自覚してるが、そんなことは無視。 「え、私が?」 「そうだ、さっき渡しただろ? それまで持ってろ。預けたんだからな」 「え?」 自分でもよくわからない理屈だけれど、もうどうでもいいや。 「明日、またここで」 「え?」 「こいよ、すず。待ってるからな」 「……」 すずは黙り込んでしまったけれど、それも無視した。 「おい、すず、お前の連絡先」 教えろと言わんばかりにスマホを取り出せば、すずは無言で固まった。 睨みあいのような時間が数秒。 そしてゆっくりとすずが首を振る。 拒否られた? 地味にショック。 教えるのが嫌だってことなのか? これ以上詰め寄っても、自分が惨めなだけのような気がしてきて、けれどあきらめもつかなくて、無言で眉を顰めた俺に、 「持ってない」とすずが言った。 「え?」 「スマホとか持ってない」 「え……」 そんなことある?って思ったら、 「お金もってないし、払えない」 と小さな声ですずが俯いて呟く。 マジか…… 今時小学生だって結構な数で持ってると聞いたことがあるのに、高校生のすずが持ってないだと? その現実が重たく俺にのしかかる。
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