187人が本棚に入れています
本棚に追加
「明日――、」
「え?」
「飯を食うんだよ、ここで」
「え?」
ポカンとしているすずに俺はまくしたてるように話しまくる。
「今日は俺がご馳走したから、明日はさっきの金ですずが払え」
ジャイアン的な発言だと自覚してるが、そんなことは無視。
「え、私が?」
「そうだ、さっき渡しただろ? それまで持ってろ。預けたんだからな」
「え?」
自分でもよくわからない理屈だけれど、もうどうでもいいや。
「明日、またここで」
「え?」
「こいよ、すず。待ってるからな」
「……」
すずは黙り込んでしまったけれど、それも無視した。
「おい、すず、お前の連絡先」
教えろと言わんばかりにスマホを取り出せば、すずは無言で固まった。
睨みあいのような時間が数秒。
そしてゆっくりとすずが首を振る。
拒否られた?
地味にショック。
教えるのが嫌だってことなのか?
これ以上詰め寄っても、自分が惨めなだけのような気がしてきて、けれどあきらめもつかなくて、無言で眉を顰めた俺に、
「持ってない」とすずが言った。
「え?」
「スマホとか持ってない」
「え……」
そんなことある?って思ったら、
「お金もってないし、払えない」
と小さな声ですずが俯いて呟く。
マジか……
今時小学生だって結構な数で持ってると聞いたことがあるのに、高校生のすずが持ってないだと?
その現実が重たく俺にのしかかる。
最初のコメントを投稿しよう!