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「な、何なんだ、君はいったい」
ずり落ちそうな眼鏡を何度も押し上げ、俺に少し距離をあけて喚く男。
うっせぇなぁ~
なら、とっととどっか行けよ、
と思うのに、行かないのは女子高生とやるためかぁ?
マジできもいなっ
なんだかとてつもなくイライラして、殴ってやろうかと思ったけれど――、手を離したらこっちの女子高生が逃げそうだ。
だから俺はぐっとこらえて、親父から視線を女子高生へと戻す。
女子高生は手を精いっぱい伸ばして、身体をよじり、俺から離れようとしている。
その顔は背けていて、もう一度よく見たいのに見えない。
見たことある顔だけど名前が出てこない。
えっと……誰だっけ?
女子高生に知り合いはいないんだけど――、
チッ、
苛立ちから無意識に漏れた舌打ち。
すると、急に身体をクルリと反転、顔を跳ね上げ俺を睨みつけて一言、
「舌打ちする男は死ね!」
死ね、死ね、死ね?
「はぁ?」
頭にきて言い返してやろうと息を吸い込んだら、
「早く離せっ!死ね!死ね!死ね!!くそじじぃ!くそじじぃ!くそじじぃ!」
「はぁ?ほんとのくそじじぃは俺じゃねぇだろ、アイツだろ!アイツ!あっちのアイツ!」
後ろの親父を反対の手で指させば、
「な、なななな、何なんだ、君はっ」
とまたもずり落ちそうな眼鏡を必死に押し上げていた。
「ねぇ、私は~?」
と最初のナンパ女が不服そうに両腕を組んでいて、
「ちょっと待っとけ!」
俺は振り返って叫んだ。
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