1.繁華街の夜

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「な、何なんだ、君はいったい」 ずり落ちそうな眼鏡を何度も押し上げ、俺に少し距離をあけて喚く男。 うっせぇなぁ~ なら、とっととどっか行けよ、 と思うのに、行かないのは女子高生とやるためかぁ? マジできもいなっ なんだかとてつもなくイライラして、殴ってやろうかと思ったけれど――、手を離したらこっちの女子高生が逃げそうだ。 だから俺はぐっとこらえて、親父から視線を女子高生へと戻す。 女子高生は手を精いっぱい伸ばして、身体をよじり、俺から離れようとしている。 その顔は背けていて、もう一度よく見たいのに見えない。 見たことある顔だけど名前が出てこない。 えっと……誰だっけ? 女子高生に知り合いはいないんだけど――、 チッ、 苛立ちから無意識に漏れた舌打ち。 すると、急に身体をクルリと反転、顔を跳ね上げ俺を睨みつけて一言、 「舌打ちする男は死ね!」 死ね、死ね、死ね? 「はぁ?」 頭にきて言い返してやろうと息を吸い込んだら、 「早く離せっ!死ね!死ね!死ね!!くそじじぃ!くそじじぃ!くそじじぃ!」 「はぁ?ほんとのくそじじぃは俺じゃねぇだろ、アイツだろ!アイツ!あっちのアイツ!」 後ろの親父を反対の手で指させば、 「な、なななな、何なんだ、君はっ」 とまたもずり落ちそうな眼鏡を必死に押し上げていた。 「ねぇ、私は~?」 と最初のナンパ女が不服そうに両腕を組んでいて、 「ちょっと待っとけ!」 俺は振り返って叫んだ。
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