1.繁華街の夜

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「彼女がリンと名乗ったんですか?」 「そうです。私にリンと呼ぶように言っていました」 「…………へぇ~」 偽名……、まっ、そっか、そうだよな。 赤の他人にそう簡単に本当の名前を教えるわけがないよな。 逆に考えれば、すずもそこまで馬鹿じゃないってことだな。 にしても、この親父……、いったい何なんだよ。 顔見てるだけでイライラがこみ上げる。 おまけにちっとも帰る気配がない。 まだすずを狙ってやがるのか? じーっと親父を見ていたら、「いったい君は何なんですか?」と尋ねられた。 なんなんですかーー、 何なんだ? 俺すずの何なんだ? ……。 あれ、なんだと言えばいい? 俺はすずの――、昔の近所の知り合いです、とでもいえばいいのか?
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