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乾いた音とともに、ハッチが開かれる。と同時に、静かでひんやりとした空気がヨウヘイの身体を包み込んだ。
絶対零度の宇宙空間において船の空調設備は重要だ。
定期的に行われる点検項目でも最重要箇所と位置付けられている。
どうやらそれが上手く作動していないようだった。
つまりこの船には空調設備を整備できる人員がいないか、船自体が大きな損傷を受けているかのどちらかということになる。
それはそれですぐに本部に報告しなければならない事案だったが、ヨウヘイは引き返さずさらに歩を進めた。
まずはこの船の出所を突き止めなければ。
その使命感が彼を突き動かしていた。
明らかにこの船はおかしい。
これほどの巨大な船が宇宙空間をさ迷っているだけでも異常なのに、船内には人の気配が感じられないのだ。
少しだけ通じた通信も怪しかった。
まるで中に入って欲しくないかのような必死さが感じられた。
もしかしたら、とヨウヘイは思った。
もしかしたら宇宙犯罪者集団に襲われたのかもしれない、と。
だとすれば放っておくわけにはいかなかった。
ヨウヘイは正義感の強い男でもあった。
光線銃を握りしめながらしばらく進んでいくと、貨物室のような場所に出た。
大きなコンテナがアームで固定され、整然と並んでいる。
その数は計り知れなかった。
はるか前方まで固定されたコンテナは続いている。
これほどの規模の貨物室は見たことがない。
さらに積荷は厳重に保管されていて、ヨウヘイの持っている道具では開けられないようになっていた。
いったい何が入っているのだろう。
コンテナに記載されたロゴを見ても、よくわからなかった。
しかし、そこに描かれたエンブレムを見て、彼は何か引っかかるものを感じた。
シャトルの周りを月と地球が回っているようなエンブレム。
具体的にどう、というのは思い出せないが、見たことのあるエンブレムだと思った。
ますます謎が深まる。
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