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ヨウヘイは戦慄した。
だとすれば、船外で通信を送っている自分の身が危ない。
彼は慌てて通信機に顔を近づけた。
「おい、すぐに引き返せ!」
ノイズのあと、船外から自分の声が聞こえてきた。
『なんだ? ノイズがひどすぎて聞こえない。もう一度言ってくれ』
「この船は時空が歪んでいる! すぐにここから離れろ!」
『なんだって?』
ダメだ、ノイズがひどすぎて聞こえないらしい。
どうにかして引き返してもらわないと。
ヨウヘイはコクピットの扉を再びロックすると、船の行先を変更しようとモニターに手を伸ばした。
次の瞬間、彼は虹色に光る宇宙を見た。
きらきらと眩しく辺りを包み込む七色の光。
宇宙空間では絶対に起こりえない光の現象に、ヨウヘイは息を飲んだ。
「なんだこれは……」
コクピット内の計器が激しく揺れる。
その場の空気が一瞬で沸騰したかのような変な感覚に襲われた。
そして、彼の姿は一瞬にしてかき消えた。
霞のように音もなく。
あとに残ったのは、ヨウヘイが扉を開けて入ってきたのと同じコクピット内である。
通信装置からはなおも船外にいるヨウヘイからの通信が入っていた。
しかし、答える者はもう誰もいない。
宇宙に漂う一隻の巨大宇宙船。
この船は未来永劫、このタイムループを繰り返す。
まるで時間に取り残されたかのように、ひっそりと。
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