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あの後はほとんど覚えていない。
気づけば保健室のベッドに横になっていて、母が迎えに来て、そのまま連れられて帰った。尚も気分が悪く、ずっとビニール袋を口に当てていたし、帰える間際に通った昇降口では移動教室の二年生達とすれ違い、部活の後輩に姿を見られたのが恥ずかしかった。
帰ってからはずっと泣きじゃくっていた。悲しさと悔しさと。あのヒステリックな音楽教師は今頃犯人を懲らしめてやったとばかりに得意顔でいることだろう。そもそも誰かが放った呟きの責任を、自分が負わされたのだ。その濡れ衣が一番悔しかった。
中学校の最後の最後で史上最悪の出来事ではないか。今頃ゲロ女と呼ばれているかもしれない。月曜日になったらどんな顔をして登校すれば良い。考えが加速するほど、どんどん悲しい気持ちが込み上げた。
だが最悪なのはそれからだった。
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