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「管理官。今後、青酸ソーダ入手ルートの解明と八人の被疑者の捜索のために人員が必要になるかと思います。それを迅速に遂行するために人員は多い方がいいと考えます」  もう一押しした。もう自分は処分を受けることから逃れられない。だが、手伝ってくれたヴァンをそんな目に遭わせたくなかった。それにここで二人とも外されてしまえば、食品流通事情研究会を追いかけられる人間がいなくなってしまう。  重苦しい沈黙が自分達を包んだ。何人かは白けた表情で自分を見ている。  クルーガー管理官は自分を見つめたままだった。恐らく彼はこちらの狙いに気付いているだろう。だが、その意図を汲む理由はないはずだ、あとは管理官の良心の問題だった。 「分かりました」  深く吐き出された息と共にクルーガー管理官が答えを出した。 「ファインズ巡査部長、あなたは監察官聴取を受けて頂いたうえで査問委員会による処分決定まで自宅待機処分とします。クレイグ巡査、あなたは」  そこで言葉を切ったクルーガー管理官がヴァンの方を見た。 「特捜本部に戻ってもらい、被疑者ジェイン・ドゥの捜査に参加してもらいます。監察官聴取は後日実施いたします」
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