ディエゴじゃなくて

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榛色のビードロの様な瞳。 節が太く長い指。 柔らかい西陽が照らす亜麻色の髪。 彫刻の様な完璧な陰影の入った薄褐色の肌。 くっきりと意志のある太い眉。 頼もしく発達した肩。 引き締まった腰と大根をおろせそうな腹直筋。 柔らかい唇を動かし、濃密で甘い吐息と共に風に言葉を委ねる。 「ジュッテ〜ム モナム〜ル」  ああ、ディエゴ・・・。否、ディエゴじゃなくて・・・フレデリック!!  彼とはバリ島に渡る船の中で、出会いました。目と目が合った途端、 「あ、知ってる。昔から・・・ずっとずっと昔から」  そんな気分になった。  日本に戻り、「和装で式をあげたい」という彼の希望もあり、神社で厳かに愛を誓い合った。  私は長年働いていた飲食店を退職して、貯めていたお金でディエゴ、じゃなかった、フレデリックと小さな小料理屋を実家のある長野県で開きました。  フレデリックの故郷フランスの田舎料理と和を融合させた創作料理を、南アルプスを臨みながら味わえる私達のお店はSNSや口コミで広がり、ちょっとした有名店になった。 『外国の子供風パーマ』などとヘアカタログに載っていそうな髪型を自然に持った娘アリスと、アレルギー対応で毛が抜けにくく賢い、ゴールデンレトリバーとプードルのミックス犬、ゴールデンドゥードゥルのハチ(フレデリックが忠犬ハチ公に感動して付けた)が庭を駆け回っている。   「ジュッテ〜ム モナム〜ル」  何年経っても、フレデリックは私を出会ったばかりの運命の恋人の様に接してくれる。幸せだわ〜・・・ 「はい。皆さん、いかかだったでしょうか?今のワーク。それぞれうまく出来ましたか?初めてだと、なかなか細部まで落としこむの難しいかもしれないけど、ざっくりと。から始めてね。引き寄せの力が働くのは『もうその現実が起きている』状態に自分を置く。そこに浸る。その様に振る舞うところから始まります。そのイメージを忘れずに、是非是非、あなたが願う現実を引き寄せていってくださいね〜」  少し鼻のかかった3オクターブにちょっと入ったくらいの声で、『Happy引き寄せワークショップ』のYu-ka 先生が言った。  もう6回目の受講。だいぶ細部まで引き寄せたい現実の中に自分を置く事ができた。きっと大丈夫。フレデリックはきっと来る。  
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