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「なぁ、小林。昨日のアレなんだけど」
今日は2月12日。登校して自分の席に鞄を置くと、クラスメイトの井上に話しかけられた。近くの席でもないのにわざわざ来てくれて、普段なら嬉しいけど今はそれどころじゃない。
「ごめーん。メッセージでも言ったと思うけど本当に気にしないで?りっちゃんに送るつもりだったのを、間違って井上に送っちゃっただけだからさ」
誤送信に気が付いてから1夜明け、笑顔を張り付けたまま答える。直接聞かれた場合でも対応できるように、何度も練習したから完璧……のはず。
動揺してたら怪しまれるだろうし、いつものように接するのが最善だと考えた結果こうなった。内心かなりドキドキしてるけど、そんなことバレるわけにはいかないし。
りっちゃんとふざけてやり取りしていた時に、部活の連絡してきた井上も悪いんだからね!って、これはただのやつあたりか。
「それは別にいいんだけど、アレって何て書いてあんの?何回読んでも意味不明すぎて逆に気になるっつーか」
「あー、あれは適当に入力しただけだから深い意味はないんだよね。気にさせちゃったならごめん」
嘘。意味はある。でも、絶対に解読しないでほしい。されたら困る。
「はは、適当に入力しただけって逆に凄くね?他の奴に見せてもいい?」
「それは絶対にダメ!!あ、えーと、あれは失敗作だから誰にも見せないでほしいかなーなんて」
「ふーん。深い意味ないのに失敗作とかあるんだ?」
ダメだ。予想外のことを聞かれるとボロが出る。こうなったら笑って誤魔化すしか……
「そうなの。何かビビッとこなくてねー。あはははは」
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