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「だから私、あなたには借りがあるって、ずっと思って生きてきたの。
こんな私をもらってくれて、一緒にいてくれて、愛してくれてありがとう」
彼女は笑った。
あの頃の彼女、そのままだった。
「ははっ。面と向かって言われると、さすがに照れるな」
私ははにかみながら、テーブルに置かれてある水を口に含んだ。妻の顔をまともに見れなかった。
メインの後に出てきたデザートを食べ、私達は店を後にした。外には生暖かい春の風が吹いていた。
私は車に乗り込むと、アクセルを踏み、更に丘を上った。頂上にある展望所を目指して。
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