それぞれの岐路

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 3年前に長男が家を出て、先ほど次男がこの地を後にした。  長男は遠く離れた関東方面に居を移し、次男はここから新幹線で5時間ほどのところへと旅立った。  子供のいない生活。  いつかは来ると分かってたものの、いざ来てみると呆気ない。  がらんとした家に妻と2人。家は何も変わっていないのに、家の中の雰囲気は、やはり暗い。 「とうとう2人になっちゃったね」  50を過ぎての2人暮らし。まだまだ身体は元気だし、老け込む年でもない。  しかし、何だろう?  この虚無感は。  妻の入れてくれた茶を啜りながら、会話の続かない空間に、早くも嫌気が差していた。  
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