妻の告白

それぞれの岐路

　30年の月日は人を変える。それは変わって当然だろう。20代の自分。30代の自分。その間には、様々な経験や出会いがあり、それなりに挫折も味わって、人を形成してく。

　2人きりはやがて4人になり、自分たち以外のことを考えるようになった。

　家庭を持つとはそういうこと。自分以外の人のことを、自分以上に想えること。

　そんな生活が20年続き、ある日突然2人に戻る。もう20代の頃の情熱はない。お互いに年を取ったし、互いの存在を当然と感じてしまうのに十分な時間を、私たちは過ごしてきた。

　それでも大切な存在。情熱的な愛情ではなく、もっと落ち着いた優しく包み込むような愛情。