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「何言ってるんだ?」
その時、まだ卵の中に体半分を残しているはずのヒナが、自分の足で立ち上がった。ドラゴンの体から出ている淡い光が、体の動きに合わせて揺らぐ。
ドラゴンは、今まで自分を包んでいた卵の殻を蹴り飛ばすと、首をもたげて目を開けた。
「あ…」
その目は、鋭くて冷たかった。
生れたばかりのドラゴンの体は、親と同じ青緑色をしているのだが、全体的な雰囲気はまるで違っていた。
もしかしたら、この子は親にあまり似ていないかもしれない。
ウサギはそんなことを考えていた。
そして、大事な友人であるミニブタの手をぎゅっと握った。
ミニブタを信頼し、尊敬していることを、伝えられるうちに伝えておかなければいけなかった。
「早く!」
ミニブタがその手を引っ張る。
次の瞬間、ドラゴンのヒナの瞳から、白い閃光がほとばしった。
(完)
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