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1.
「ゆでたまご~。おいしい~ゆで卵はいらんかね~」
ミニブタ谷からやってきたクリーム色のミニブタが、ウサギ町の中の一番賑やかな通りを、小さなリヤカーを引いて歩いていた。
リヤカーにはたくさんのゆで卵が積んであって、「ゆで卵」と書かれた小さな旗もたてられている。
「ゆで卵売りさん、一個いくら?」
花屋の前に来た時だ。この町の住人のウサギが、ミニブタに声をかけた。
「一個100円。五個なら480円」
このやり取りを聞いた他の通行人も、ゆで卵売りのそばに寄ってきた。
「生卵はないの?」
「ごめんね、ゆで卵だけなんだ」
「明日は来る?」
「晴れたら来るよ」
「三個ちょうだい」
「私は五個ちょうだい」
「へいまいどあり。今、紙袋に入れるからちょっと待ってね」
ゆで卵が次々と売れて、ミニブタは大忙しだ。
「一個だけ大きいのがあるけど、これはなに?」
客の中にいた茶色いウサギが尋ねた。
指差す先には、他の卵と比べて二倍近くも大きい卵がある。
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