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「ゆでたまご~。おいしい~ゆで卵はいらんかね~」  ミニブタ谷からやってきたクリーム色のミニブタが、ウサギ町の中の一番賑やかな通りを、小さなリヤカーを引いて歩いていた。  リヤカーにはたくさんのゆで卵が積んであって、「ゆで卵」と書かれた小さな旗もたてられている。 「ゆで卵売りさん、一個いくら?」  花屋の前に来た時だ。この町の住人のウサギが、ミニブタに声をかけた。 「一個100円。五個なら480円」  このやり取りを聞いた他の通行人も、ゆで卵売りのそばに寄ってきた。 「生卵はないの?」 「ごめんね、ゆで卵だけなんだ」 「明日は来る?」 「晴れたら来るよ」 「三個ちょうだい」 「私は五個ちょうだい」 「へいまいどあり。今、紙袋に入れるからちょっと待ってね」  ゆで卵が次々と売れて、ミニブタは大忙しだ。 「一個だけ大きいのがあるけど、これはなに?」  客の中にいた茶色いウサギが尋ねた。  指差す先には、他の卵と比べて二倍近くも大きい卵がある。
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