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『ねえ、あなたはなんていう名前なの?』
『わたしの名前は、冬子。あなたは?』
『いい名前ね。私は千津子。ちづこって読むのよ』
『素敵な名前。千津子は何年生? わたしは高一』
『私も高一よ。同い年ね。クラスには馴染めた?』
『全然。ずっと一人。だから、いつもここへ来てる』
『そっか。私も同じ。あなたと同じよ』
『ねえ、千津子。わたしと友だちになってよ』
『嬉しい。そんなこと言ってくれるなんて。ずっと一緒にいましょう。私、冬子がいればほかに何もいらないわ』
『ありがとう。わたしも』
毎日の短い言葉のやり取りは続いていき、日が進むにつれてわたしたちの仲は深まっていった。
姿が見えなくても、彼女の優しさが伝わってくる、そんな気がした。恐怖なんてない。わたしに出来た唯一の友だちだから。
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