ホントは嫌い

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「じゃーね、茉由(まゆ)。気をつけて帰りなよ〜」  駅での別れ際、いつも寂しさを隠しきれない和登(かずと)がやたらと嬉しそうだったのがちょっと不思議だった。  結婚決まってて、もうすぐ一緒に住むんだから安心できたのかな。……まさか「もう新鮮味がない」とか、ましてや「釣った魚に〜」って人じゃないくらいはあたしも信じてるし。  結婚かぁ。  あたし、家族以外の他人と暮らすのなんて初めてだよ。お互いの家に泊まることはよくあったけど、長く一緒に過ごしたのなんてせいぜい数日の旅行くらいだもん。  大丈夫かな。大丈夫だよ、ね……?   あ、こういうのが所謂「マリッジブルー」ってやつ?
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