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贅を尽くした祝言のことは、ほとんど記憶にない。
あれほど、着るのを楽しみにしていた花嫁衣裳のことも。宴のごちそうも。
わたしが考えていたのは、旦那さまのことだけ。
旦那さまの、マラのことだけ。
母屋の奥深くにしつらえられた初夜の床。
宴から早々にさがって、身支度を整えたわたしは、むらおさを待つ。
永遠にも思える時間の後で、やっと、そのひとは姿を現した。
「礼を尽くした挨拶をして、閨へと迎え入れる」
なんどもなんども、おさらいをして、なんどもなんども思い描いた。
そんな手順は、すべて吹き飛んでしまう。
「…だんなさま、だんなさま、だんなさま……っ」
声を詰まらせながら、わたしはそのひとの膝に縋りつく。
そして、顔を上げれば、ちょうど男の徴の膨らみが目に入った。
「すまぬことだ、嫁御どの。ずいぶん待たせてしまったか。だが宴もたけなわ、座を立つきっかけが難しくてな」
その言葉には心がこもっていて、単なる言い訳とは、とても思えない。
わたしは返事も出来ぬままに、ただ首を横に振った。
そして、旦那さまの両手首を取って、自分の乳房へと押し当てる。
むらおさは、戸惑うようにひとつ瞬いたが、すぐにわたしのおっぱいを揉みしだき始めた。
そして親指の腹で、そっと乳首をくすぐる。
「あ、あんっ……あ、ああ」
このひとの指は、なんて心地いいのだろう。
自分で触るのとは大違い。
もう、これだけで気をやってしまいそう。
旦那さまが、わたしの胸元をはだけた。
乳房があらわにされる。
ああ、みて、みてくださいまし。わたしのおっぱいを。
きれいでしょう? すべすべでしょう? おおきいでしょう?
むらおさが、胸の谷間へと顔を近づけた。
そして、くちびるが押し当てられる。
おおづくりな暖かい舌で、おっぱい全部がなめまわされた。
きもちいい。
きもちいい。舐められた部分が熱く蕩けてしかたがない。
乳首に吸い付かれる。
気持ち良さが突き上げる。チカチカと目がくらんだ。
気づけば、わたしは大声でよがっていた。
「おや、元気のよい嫁御どのだ」
旦那さまが、やさしく呟く。
だって。
気持ちが良すぎるのだ。
旦那さまが舐めるところが、みな「気持ちいい」の塊に変わっていく。
「あ、あ、いきます、いきます……っ、きをやりますぅ、あ、ああぁぁぁぁあっ……」
ピタリと太腿を閉じ合わせ、目を閉じて、わたしは釣り上げられた魚のように、身体をはねさせた。
そしてドロリと、ほとから水が下りてくる。
そのぬかるみを、旦那さまの指先がかき回した。
コリコリにしこった肉刺が捏ねまわされる。
どうしようもなく心地いい。
心地いいけれど、わたしが欲しいのは。
「どうか、どうか」
切れ切れに、わたしは声を上げる。
「ほとに、ほとに、お珍宝を」
熱くてかたい、太い肉棒を、じゅぼじゅぼ、こすりつけてほしい。
「おちんぽう、などと……嫁御どのはもう、そんな言葉も知っておるのだな?」
すこしの驚きを帯びてはいるものの、むらおさの声は、どこまでも優しかった。
「どうか、どうか、もう、ほとがどうにも、たまりませぬ、どうか……」
「なるほど、嫁御どのは『ここ』が疼いてたまらぬと」
言いながら、わたしの股を割り開き、旦那さまが「そこ」を覗き込んだ。
「愛らしいな、ぬるりと桃色に輝いて。おや」
そう言ってさらに、顔を近づける。
「入口がひくひくと、貝のようだ」
そして、なにかがほとに押し付けられた。
ああ、これが待ち望んだ「もの」なのだろうかと。
わたしは嬉しくて、大きく背をそらす。
けれども。
違った。わたしの蜜道に入ってきたのは、旦那さまの舌だった。
でもそれは、熱くうねうねと、わたしの襞に分け入ってくる。
「あ゛、あっ、ぎも、ぎもちぃ゛いっ」
悲鳴がこみ上げた。
ズル剥けに腫れあがった「股のお肉刺」を指で捏ねまわされながら、舌で孔をほじられる。
「ひっ……ひ、っ、あ、んぁ、んっ゛あ゛っ」
ものすごくこみ上げ、わたしは気をやった。
旦那さまの頸を締め上げてしまいそうなほどに。ぎゅうと股を閉じ合わせて。
その後も、むらおさは身体のあらゆる場所を舐め回す。
くちづけ、触られた場所は、まるでうるしに爛れでもしたかのように、いつまでもいつまでも、疼きとしびれが後を引いた。
そして、知らぬ間にわたしは、気をやりすぎて正体をなくしてしまう。
ただ。
旦那さまが、わたしのほとに、おちんぽうを挿れてくださらなかったことだけは確かだった。
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