ミントな君

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「へーぇ。良いこと聞いちゃったよ、タケちゃん。これ、このボタンを私が一分間ずっと押してるから、タケちゃんはパソコンで音楽流して録音手伝ってね」  このアナログな機能に美沙はツッコミを入れているのだろうか。 「大変だろ」 「面白いんじゃない? この機能が付いてる植木鉢、ミントはあるかな」  美沙が植木鉢を置いた途端また、ブンシャカブンシャカと鳴りはじめた。俺が思わずフッと吹き出すと、「あっ」と美沙が慌ててスイッチを切る。  なんでサンプルにこのメロディーを選んだのだろうか。 「タケちゃん、ごめん。私、前に使ってた眼鏡を持ってきたかどうか忘れちゃって……車にあるかな?」 「わかった、とりあえず今、探してくる。ポーチの中か?」 「そこか、もしなかったら、後部座席のもう一つの鞄の中のどこかなんだけど……なかったら、ごめんね」 「ああ、大丈夫。ゆっくり見てて」  店から出て駐車場まで戻る。助手席にあった美沙のポーチを開けたが、眼鏡は入っていない。後部座席にあった鞄の中を、全部のポケットの中まで、念入りに時間をかけて探したが、見つからなかった。  店に戻ると、美沙がお会計を終わらせているところだった。店の紙袋の大きいサイズが二つ、美沙に握られている。 「そんなに買ったのか」 「女は衝動的に生きるんだよ。ごめんね、やっぱり眼鏡は無かったよね」  すまなそうに言う美沙から紙袋を二つ受け取り、「大丈夫」と言って店を出た。
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