ミントな君

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 美沙の実家の前まで来たときは、少し薄暗くなっていた。 「タケちゃん。これ、二年目の記念日のプレゼント。ここに置いておく」 美沙が、今日行ったハーブ店マリーの袋を俺に見せた。 「えっ、俺が美沙にプレゼントは何がいいか聞いたら、要らないって言っただろ? 本当に何も用意してなかったよ。ごめん」 「いいんだよ。本当に私は何も要らなかったんだから。タケちゃん、このプレゼントはちゃんとスイッチ入れて育ててね」 「スイッチって……プレゼントの中身は、あの鉢植えかぁ」  美沙は小さなマリーの紙袋を助手席に置いて、車を降りた。そして後部座席から大きなマリーの紙袋二つと鞄を「よいしょ」と持つと、美沙は両腕が塞がった。  白くて小さな顔に自分の顔を近づける。 「待って!」 「え」 「言ったでしょ。私、これ以上甘えちゃうと、ずっとタケちゃんに頼ってしまう」 「頼っていいけど」 「ダメなんだよ! 今、頑張らないといけないんだから。じゃないと、私は本当に何も見えなくなってしまうから。ごめんね。ごめんね、タケちゃん」  強張った声で言うと、美沙は実家のドアを開けて、振り返りもせずに閉めた。  しばらく、ぽかんとして美沙の入って行った実家の玄関の方を見ていたけれど、また連絡すればいいと思い、そのまま自宅に戻った。
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