ミントな君

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 港公園は、大学時代からの美沙のお気に入りの場所だった。船の汽笛の音や、潮風の心地良さなど、視覚以外で楽しめる要素もある。 「あ、途中で竜宮温泉通るよな。足湯だけでも入れるし、寄って行くか?」 「大丈夫。温泉は明日行くから、今日はいいやー」  美沙は、明日はお母さんと一緒に温泉旅行へ行くらしい。就活を始める前に、ゆっくり羽を伸ばすのは良いことだ。 「あ、タケちゃん。もうすぐでマリーが見えてくるから、そこに寄ってほしいな」 「了解」  沈丁花と同じく、女子力が高めのハーブ雑貨のお店が「マリー」だ。美沙とは二度ほど行ったくらいで、さほど行きつけという訳ではなかった。おそらく、さっき食べたゼリーに入ってたミントを思い出して、行きたくなったのだろう。 「懐かしいねー」  一年近く来ていなかったと思う。店内は変わらずお洒落だった。様々な種類のハーブが鉢植えで売られていたり、すぐに食用に仕えるようにパックに入っていたり、プレゼント用にラッピングもしてくれるらしい。 「ローズマリー、イタリアンパセリ……あ、タケちゃん、見て。スペアミントだ」  美沙が、顔がプレートに触れるほど近付いてハーブの名前を読んでいた。
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