ミントな君

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「去年は、友達の誕生日プレゼントにしたんだっけ?」 「そうそう。あの時は、ローズヒップとカモミールのハーブティーセットだったけど、今度は、鉢植えも良いよね」  男は、少なくとも俺は、たとえ好きな人からのプレゼントでも、ハーブの鉢植えなんてどうしていいか分からない。 「女の子って、あまり実用的なものは買わないのか?」 「ハーブを育てられるんだから、それだけで実用的だよ。あ、見て。すごいよ。これは、植木鉢から音楽が流れるんだって」  ブンシャカブンシャカブンブンブンブン……  スイッチを押した美沙本人も笑い出すくらい、陽気でナンセンスなメロディーだった。 「これ、可愛いよ。あ、スイッチを入れた後に、振動を与えると、反応して、動くんだって」  美沙が、説明書すれすれに目を近づけて読んでいるのを見て、店員さんが話しかけてきた。 「こちらは、自分の好きな音楽を録音することが出来るんですよ。今入っている音楽はサンプルです」 「本当ですか? あ、この赤いのが録音ボタンですか?」 「そうです。この録音ボタンを押してる間は一分間だけ好きな音楽が録音できます」 「これって、ハーブと音楽を同時に楽しむのが目的ですか?」  俺の変な質問にも、店員さんは嫌な顔はしなかった。 「植物は、音楽を聞かせた方が良く育つという説もあるんですよ。スイッチを入れて、振動を与えた時だけ音が流れるシステムなので、ずっと騒がしいわけではありません」
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