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ごおごおと、そこら中で火葬炉が稼働する音が響いている。火葬場の控え室であいつの親族とテーブルを囲んでいる今も、その音は絶えず鳴り続けていた。母親に伯母、その娘であいつの従姉妹に当たる大学生らしき女性が一人。ときおり会話は紡がれるが、ぽつりぽつりと止んでいき、また火葬の音が存在を際立たせる。四畳半ほどの空間で、俺以外の三人は一様にテーブルへと目を伏せていた。ごおごおという音に合わさるかのように、彼女たちの暗い瞳の中で光が揺れる。
この中で、俺だけがあいつとは血の繋がりがない赤の他人で、けれどあいつと特別親しかったからという理由で、この場にいる。
血の繋がりがあれば、こんなふうに素直に哀しみを感じることができただろうか。俺はやっぱり、その様子を哀しみの伴わない視点でしか見ることができなかった。
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