サルトリくん

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<サルトリくんの脳内> 僕の彼女は、すごくかわいい。 僕みたいな、平凡な男と、何故彼女は付き合ってくれるのか……。 僕がもし、すごいイケメンだったら、こんなに悩まないと思う。 イケメンという理由があるからだ。 僕がもし、芋虫だったら、彼女とは付き合えていない。 僕が芋虫に生まれていたら、彼女は、きっと、僕を見て悲鳴を上げるだろう。 彼女は、虫が嫌いだからだ。 でも、もしも、ぼくが芋虫だったら、こんなに悩まないで済むと思う。 僕は、なぜ存在しているのか……。 僕は、いつも、そのことで悩んでしまう。 僕の名前と似ている、フランスの哲学者「サルトル」は、彼の実存主義の中で言っている。 「生きる道を自分で切り開く、今ここにあるひとりの人間の現実存在(=実存)としての自分にあり方を求めるものである」 サルトルは、この実存主義を分かりやすく、ペーパーナイフと人間を使って説明している。 ①ペーパーナイフは、『紙を切る』という目的が存在している。 ②その『紙を切る』という目的のためにペーパーナイフという実存(そのもの自体)が生まれる。 ③ペーパーナイフの場合は、本質が先に存在しており、後から実存がついてくる。 では、人間の場合はどうか? ①人間は、まず生まれてくる。 ②そして、本質は決まっていない。 ③つまり、「あなたの生まれてきた目的は○○である」と、本質を最初から決められている人はいない。 だから、サルトルが言うところによると、僕が、生まれてきた意味は、僕が作るのだ、ということだ。 どんな人間にでも、なることが出来るのだ。 う~む、ひとまず、納得……。
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