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Ⅷ 反逆者
今日は決別の日。そう心に決めた相良鳳乃華はショルダーバックを提げて例の事件現場を訪れ、壁に掛かっている自身の絵画作品”少女Ⅳ”の前に立ち尽くしていた。
提げたショルダーバッグの中から鋭利なナイフを取り出した。
「この作品は多くの人を不幸にした。だからわたしは今日でこの作品の息の根を止める。わたしの手で葬ってやるのがせめてもの温情ってやつよ」
目を血走らせた鳳乃華は強く握りしめたナイフを大きく掲げ、そのまま”少女Ⅳ”を引き裂こうとした――その時、鳳乃華の背後から手が伸び、ナイフを握る彼女の腕を掴んだ。
振り返らなくても鳳乃華には分かる。その正体は”少女Ⅳ”ことイヴである。
「……やっぱり現れたわね。諸悪の根源めっ!」
「へえー、ヒドいことを言うんだね、創造主」
「その手を放しなさいよ」
鳳乃華は手を振り払い、一旦イヴから距離を取った。
「そう言えば、最初にお前と会ったのはここだったわね。お前はあの時、わたしの質問に答えずに『次に会った時には絶対話すよ』と言って逃げたよね」
「確かに言ったね」
「綸言汗の如し――その言葉に偽りが無いなら、わたしの質問に答えてよっ!」
鳳乃華の質問――それは”イヴの目的”である。
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