0人が本棚に入れています
本棚に追加
ヅラ先生の正体
「――というわけで、是非ともこの私に清き一票をお願いいたします!」
多くの人々が行き交う駅前。ほとんどの人が無視しているが、それでも先生は一生懸命に演説なさっている。
先生は現職の国会議員。長年務めており、今回も当選を狙っている。最近、風当りが強くなってきているし、選挙区内にライバルがいないとはいわないが、それでも当選は確実だろう。なぜならば、最大与党に所属している上、経験も豊富だからだ。
私と先生が所属する政党は自由主義を掲げている。我が国は民主国家なので、同様に自由主義を掲げている政党は多数あるが、我々が所属する政党は、保守的な性格の強さが特徴だ。
何もわかっていない左翼的なライバルやマスコミどもは、我々のことを右翼だの、考えが古いだのと批判してくるが、我が国が平和なのは誰のおかげだと思っているのだろうか。長年、与党を務めてきた我が党による堅実な政治の賜物であると思わないのか。
当選すれば、今度は大臣になる可能性が高い。そうすると次回からは私自らが出馬して議員になることも夢ではないだろう。
我が党に所属する者達は、考え方に多少の差異はあれども、国を守る、美しい国を作る、という点では一緒だ。私もこの考えに感銘を受けて入党したのだ。
私が議員になったら、諸外国に負けぬよう、この国のさらなる発展を目指したい。
だから、先生にも頑張っていただきたい。
最初のコメントを投稿しよう!