タイムマシン

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 「……なあ、潮雄……」    そして三人で他愛も無い会話を少しした後。  いかにもこれから言いにくい事を言うぞ、と言わんばかりにゆっくりと父の口が開かれた。  何度も想像した場面を今、父が実演している。  まるで本番が始まり、俳優がドラマを演じている様だ。お芝居として見れば下手くそではあるが。  だがこれはフィクションでは、演技ではない。カットの声はかからない。  ちなみに父も当然の様に芸能界デビューするはずだった。なかったことになったのはスキャンダルを掘り起こされると大変だからだが、他にも事情があった。  いつか来ると予感していた今夜この時。  言われる事は分かっている。  とっくに覚悟は出来ていたつもりの潮雄ではあるが、さすがに動揺は隠せない。  『彼が今までに取った特許の一覧がこちらです!いやあ凄いですねえ……』  ニュースキャスターの声が割り込んで来る。  いや、テレビ消せよ耳障りだなあもう。  もうもう。  「…………すまないが…………」  いや、溜めが長すぎだろ。  超必殺技かな?  いや、ある意味似た様なものかもしれない。  父も今日この日までに必殺技のゲージを溜め、コマンドの練習を重ね、発動の瞬間をイメージして、そのタイミングを狙っていたのだから。    さあ来るなら来い。俺は逃げも隠れもしない。  潮雄は黙って父の言葉を待つ。
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