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「…………その、お前は…………」
ああ、ついに訪れたある意味での人生のターニングポイント。一瞬なのになんと長く感じるのだろう。思わず「ファイナルアンサー?」と言いたくなるくらいに。
しかし、こうして父と母が並んで座っていると本当に映画のワンシーンの様だ。
二人の子供を演じるなら、将来国民的美少女とか呼ばれる子役がいい。
俺なんかがここにいたら、映画監督に追い出されそうだ。
そんな事を考えるうちに、父の口はゆっくりと、しかし確実に予想通りの言葉を紡いで行く。
「…………俺と…………」
分かってるよ、父さん。
俺と父さんとはまるで似ていないんだから。
いつもの様に話せばいいのに。
「…………母さんの…………」
知っているよ、母さん。
俺と母さんとは全然違うんだから。
いつもの様に笑えばいいのに。
クラスメイトも近所の人達も、みんな疑問に思っていたはずだ。
そして一番疑問に思っていたのは、当然……
「…………子供………」
そうさ。だから俺は。
「…………で、いてくれるのか?」
その疑問を消し去ってあげたくなったんだ。
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