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「分かった、信じるよ。俺達がお前の言う事を信じないはずがないだろう」
しかし。
自由に過去を覗けるとしても、それで本当に潮雄が二人の子供である、という証明を得るのは難しいし、時間も掛かる。
タイムマシン以外にいくつかの発明が必要になるだろう。
だから潮雄は本当に二人の過去を洗いざらい調べた訳ではない。
ただ、見た目に反して不器用な所もある二人が、仲睦まじく幼い自分を抱いている姿を確認出来ただけで満足だった。
俺は二人の子供だと信じてる。
それでいいじゃないか。
例え、事実は違ったとしても。
人類の夢である時空を超える事を可能にしたタイムマシンでも、親子の絆を超える事は出来ないのだ。
それに潮雄にはちゃんと、二人に似ている所もある。
『それでは潮雄君、君がタイムマシンを作ろうと思った動機は何ですか?』
『……それは……その……ええと……』
天才児らしく胸を張って誇らしく、大好きな父さんと母さんの為です!と言いたかったのに。
自分の結婚式では、必ず両親に感謝の言葉を言うんだ、と誓う潮雄。
テレビの中ではそんな彼に、過去と未来を自由に旅する大発明が『いや、無理だろ。超えられない壁さ』と笑っている様に見えた。
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