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そばに無言で控えるヴォルフはモニターに顔を向けながら、いらだちで震えるオトゥの頬を、目の端で捉えた。
オトゥは立ち上がると、前に座っている通信係のダイソンの背中に向かって指示した。
「今すぐ、父上につないでくれ。上奏する」
「はっ!」
オトゥの父は、リントヴルム国王、キング・ドードである。
彼は国中の敬意を集め、宰相ナミエラを従えつつ、国政を行っていた。
王政を敷いており、なおかつシビリアンコントロールが機能していた。よって、ドードの意向がナミエラのそれであり、同時に国軍トップのザクセン総司令官はそれに従う立場である。
モニター画面に白髪混じりの頭と、口周りに豊かな髭を蓄えたドードが映る。
「何だね、オトゥ?」
その声に、ヴォルフを始めとする諜報室にいるスタッフ全員十数名が一斉に、反射的に席を立った。そして画面に向かうと背筋を正し、敬礼した。
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