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 あの電話から、ちょうど一週間後の夜、約束通りソラは車でリクの家まで迎えに行った。  携帯でワンコール入れると、すぐにリクが玄関から出てきて左手を上げ、車に近づいてきた。「久しぶり」と互いに声を掛け合う。  助手席のミウが、ソラの左肩の上に顎を乗せて笑顔を浮かべた。 「りっくん、こんばんは」 「おう」  リクは後ろの座席に滑り込んだ。  10分ほど夜道を走ったあと、車をとある洋食の店に乗り入れた。  三人が車を降りると、ガーリックとオリーブオイルの香りが駐車場一面に漂っていた。  店外に突き出したダクトから、カンカンとフライパンを振る音が聞こえてくる。  ソラは車にロックをかけると、まっすぐ店の入り口へ向かい、それにミウとリクが続いた。  平日の夜だからか、店内は他に二組の客がいるだけで、静かだった。  BGMのナット・キング・コールに、リクは少し聴き入ったが、あとの二人は、なじみの店なのだろう、さっさと奥の席に歩いて行ってしまった。  四人掛けのテーブルに陣取り、ソラとミウは並んで腰かけている。彼らの向かいにリクは腰掛けた。  ソラはのけぞりながらメニューブックに目を走らせる。 「今日はゆっくり昼飯食えなんだし、腹減ったわー」  リクは、微笑んだ。 「で、リクは好き嫌いあるんやっけ?」 「いや」 「そかー、じゃあ、適当に頼むわ」  そう言う前からソラは、既にテーブル備え付けのスイッチに手を掛けている。  一杯目のドリンクがやってくると、ソラが「乾杯!」と、はしゃいだ。 「お疲れ!」  ミウが、リクの目をのぞいてから赤い唇に笑みを浮かべ「お疲れさま」と言って、自分のグラスをテーブルの中央に寄せた。 「二人とも、お疲れ」  リクは待ち受ける二つのグラスに軽く自分のビールグラスを押しあてて、口に運ぶ。  やがて、テーブルにはすき間なく皿が載るくらい料理がやってきて、それぞれを三人でシェアした。
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