雪女物語

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 むかしむかし、この村のはずれにある山に雪女が住んでいました。    彼女は時折山を下りてきて、村の人々の生活を見ていました。  故にその姿を目にする者も少なくなく、その姿を見たものは、彼女をたいそう美しい女だと申しました。白く長い髪を風になびかせ、同じく白い衣を華奢な白い体躯に纏い、顔立ちの整った真っ白な女性だったと言うのです。    しかし、彼女と話をした途端、皆こう言いました。彼女はあまりにも冷たい。冷酷なひとだと。  彼女に話しかけても、一言も返すことなく、暗い青の瞳でキッと睨みつけて、山に帰って行ってしまいます。  そんな彼女を人々は次第に嫌うようになり、彼女が山を下りてきても、話しかけるものは遂にいなくなってしまいました。
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