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"渚は本当にその小さなバレリーナが好きなんだな"
それは誕生日に貰ったオルゴールで、木目の美しい箱を開けると、古い映画の曲に合わせて小さな可愛いバレリーナがくるくる踊る仕掛けだった。
私はそれをひどく気に入っていて、お風呂でもトイレでも四六時中手放さなかった。
***
5歳の寒い冬の日だった。
母は私を後部座席に乗せて、空港に父を車で迎えに行く途中だった。
路面は凍結していて、運転する車が突如スリップした。
大型のトラックと正面衝突して車は大破、私は奇跡的に軽い怪我で済んだが、母は運転席でぺしゃんこになった。
お気に入りのバレリーナのオルゴールも、事故現場で見る影もなく、潰されてしまったのだった。
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