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30分後、採点する。やはり満点だ。(またこじれるから言わないけどこの子に俺いるか……?)と思いつつも、前回のこともあるので何も言えない。
「はい、今日はこれくらいにしておこうか」
「えぇ?まだ2時間しかやって無いよ?」
「これ以上やる意味は無いんだよ。……君は優秀だし」
「……」少女は俯く。
「まぁ空いた時間は……なにか話でもしよう。ゲームとかする?」「……しない」
「漫画読む?」
「……読まない」
「映画見る?」
「……興味ない」
「なるほどね、趣味は?」「……特にない」
「ふむ、何か趣味見つけようか」「……なんで」
「将来役に立つかもしれないからさ」
「……」少女は考え込む。
「ちなみに俺は料理と映画鑑賞かな」「……じゃあせんせと同じ趣味にする」「本当に?無理しなくてもいいんだぞ?」
「ううん。せんせと一緒にやりたいの」と少女は言った。
「そうか、じゃあ一緒に見よう」「うん!」
俺は少女を膝に乗せて映画鑑賞をすることにした。画面はスマホで小さいが、少女は満足げなので良いだろう。
ミュージカル調の明るい映画だったが彼女は見る限り楽しそうに鑑賞していた。
画面が変わる度にころころと表情が変わり、見ていて飽きない。
「ねぇせんせ」「何?」
「映画面白いね」
「だろ?」しばらくすると少女は眠くなったのか俺に寄りかかってきた。
「寝てもいいよ」
「ん〜」と言いつつ少女はそのまま眠りについた。
俺は頭を撫でた。
そのまま俺も少しだけ仮眠をとることにした。
――
目が覚めるともう日は暮れており俺は帰る時間だった。「起きてるかい?」と聞くと「うん」と返事があった。
「俺はそろそろ帰らないとだけど大丈夫?」
「嫌」
「……」俺はため息をつく。
「ほらまた映画一緒に見よう?どんなのがいい?ダウンロードしとくから」「うん。……あのさ、せんせ」
「なに?」
「私わがままだからこれからもいっぱい迷惑かけると思うの。それでね先生のこと困らせちゃうこと沢山あると思うけど……」
彼女は言葉を詰まらせる。
「それでも私のそばにいてくれる?」彼女は不安そうな顔でこちらを見てきた。
「君が大人になるまで一緒にいられたら良いなぁ」「ほんとに?」
「本当だよ」
「じゃあ約束ね!」
少女は嬉しそうに笑う。その笑顔はとても可愛らしくて、思わず抱きしめてしまいそうになる。
「あぁ。指切りしようか」俺は小指を差し出す。
「ゆびきりげんまん♪嘘ついたらはりせんぼんのーますっ!指切った♡」
「怖いわ!」俺は笑いながら突っ込んだ。
――
こうして俺はその後も家庭教師として彼女に会い続けた。最初はどうなるかと思ったが、今ではそれなりに楽しく過ごしている。……ただ一つ問題があるとすれば、彼女がどんどん俺に懐いていくことだろうか。
――
そして気がつくともう中学受験が終わり、結果が出た。
無事彼女は合格していた。俺が教えたことが活かせたようでとても嬉しい。
「せんせのおかげ!ありがとう♡」
「良かった」俺は彼女の頭を撫でる。「せんせっ♡」
彼女はぎゅっと抱きついてきた。
「はいはい。わかったから」
「えへへぇ」と幸せそうだ。
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