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走り去るパトカー。
解散する野次馬たち。
やがて落ち着きを取り戻した街の中で、俺は自宅アパートの扉を開けた。
静かだった。
昨日まで俺を悩ませていた甲高い女の怒鳴り声は聞こえなくなっていた。
赤子の声も。
(あの女は……彼女だったのか)
今更ながら、1週間前に引っ越してきた隣人の正体を知り、俺は脱力する。
これまで、隣人とは一度も顔を合わせたことが無かった。
今時、同じアパートに住む人間とは言え、顔も名前も知らないなんて珍しいことではない。
俺自身、面倒な近所付き合いは苦手なので特に気にしていなかった。
だがしかし、あのうるさい隣人が別れた彼女だったとは……
(警察に捕まるようなことを……一体何をやらかしたんだ、あいつ)
何となく気になって携帯端末を起動させる。
すると、複数の友人からメッセージが届いていた。
何かと思い、それらに目を通す。
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