うるさい隣人

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「違う違う違う違う」 俺だってそうだ。無関係な野次馬の一人だ。 一年前に彼女と別れた後、彼女と関わりたくなくて俺は全ての連絡先を絶った。 だから、その後の彼女に何があったのかなんて知る由もない。 でも、何となく想像はつく。 彼女は他の誰かと付き合って、交際相手の子供を身籠った。 しかし、交際相手には逃げられた。 一人で子供を産んだものの、とても育てられない現実に困り果てた。 そして、殺した。 きっとそんなところだろう。いや、そうに違いない。 殺された赤子の父親は──俺には関係ない。 そうだ。俺には関係ない話だ。 「関係ない。関係ない。関係ない。関係ない」 俺は関係ない。 俺には関係のないことだ。 「関係ない関係ない関係ない関係ない」 静かになった部屋の中で、俺はひたすら呪文のように唱え続けた。 そんな中、どこからか赤子の声が響いてくる。 「うるさい」 その声はどんどんな大きくなる。 「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい」 その声は止まらない。 「いい加減にしてくれ!」 誰もいないはずの隣室に向かって、俺は怒鳴った。 「うるさい!」 (終)
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