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物心がついた頃だった 父が母を虐待していることに 気づいたのは 連日酔って帰ってきては 難癖をつけ、母に怒鳴り 暴力を振るっていた 私はただ寝室でうずくまり、 その様子に怯えるしかなかった 春の日差しが差し込む 暖かな陽気 母は広縁で外を眺めながら 泣いていた 僕はそっと寄り添い 母の背中を撫でた 母は無言で僕を見つめ 泣き続けた いつしか僕は 父に殺意を抱いていた
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