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成人になった僕は 父を殴り倒すことは容易であろう 父も老いてきている しかし、幼少期に植え付けられた 恐怖が行動を拒否し いざ止めようと思っても 体が竦んでしまうのだ 僕は母への暴力を 見て見ぬふりをしていた ボロボロになる母と僕で 1つの思いが募った 薬剤師である僕は 青酸カリなどと違って 自然死に見えるような薬を知っている 後はそれを職場から 盗むだけだ 僕が薬剤師になったのも 全てはこのためだった 職場に行き、人目を盗んで 迷うことなく実行した 家に帰ると母が迎えてくれたので 目配せをして、母の手にそっと薬を渡した ご飯やお茶の支度をするのは いつも母だ 僕がいきなり お茶を父に持っていったら 不自然だろう
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