虫と美猫の過呼吸

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虫と美猫の過呼吸

 美猫の言葉に驚いて、結羽は首を回して黒い鳥たちをシゲシゲと見た。バッタ相手に奮闘しているカンタとカンタの連れ合い、5羽の子ガラス。  1羽ずつ自分の目で確かめる。若いだけに敏速で動きに目がついて行かない。しかも、どれも黒くて見分けがつかないが、身体の大きさで親鳥は分かる。飛行が荒々しいのが5羽いた。  ホントだ!  【カンタ! お前の子たち、皆、足が3本ある! 】 【そうだよ、オレオレだって言ったよね】 【オレオレ? 】  カンタの言葉を繰り返す。  その時、美猫が過呼吸になりそうな状態で苦しい息の合間を縫って 「サッカー、、の、ハァハァ、、旗、、、シンボル、、ハァハァ、、、マーク、、」 「…… そうか! 日本サッカー協会のシンボルマークだ。確か八咫烏(ヤタガラス)だったよな? 」  ようやく言わんとしたことが理解できた。 【うん、3本足は強いよ】  カンタが自慢げに言った。あの時は意味が分からず、適当に相槌を打ったがそう言う意味だったのか。だが感心してる場合ではない。結羽の胸の中にいる美猫の呼吸がどんどん速くなっている。  過呼吸は極度の緊張や恐怖から、速く浅い呼吸を繰り返すことで血液中の二酸化炭素が少なくなり、呼吸が正常にできなくなるのだ。 「苦しい。息ができない」  美猫がパニックに陥ってきた。結羽はどうしていいか分からず、美猫の背中をさすりながらうろたえる。
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