いよいよ美猫奪還

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 4人は赤木の家を目指して車を走らせた。ナビの誘導で初めての道も難なく進めたと思ったが、途中で一般事故があったらしく、渋滞を起こしていた。  仕方ないので、迂回するはめになり到着が遅れてしまった。  地図で見ると鬼黄の家から赤木の家に行く方が、結羽たちが行くよりもはるかに近かったので、彼らが途中で寄り道しない限り、とうに到着しているはずだった。  だが、赤木の部屋の灯りは消えていて、駐車場には以前に結羽が白木の家で隠れながらスマホで撮った車のナンバーと合致する車も見当たらない。  しばらくアパートを見張るしかないと相談の上、赤木の顔を知っている虎太郎と結羽が車から降りて残り、翔と犬一は近くの目立たない所で待機することにした。  ゆうに2時間は待っている。さすがに遅い、遅すぎる。睡眠薬を飲まされた女性を乗せているのだから、のんびり走るわけがない。  結羽たちの予測は間違っていたのだろうか…… 。二人は一旦、車に戻ることにした。  車内では翔たちがシートを倒して仮眠していた。窓をコンコンと叩くと跳ね起きて、ドアを開けてくれた。 「どうやら、ここじゃなさそうだな」  翔が苦い顔をして結羽を見た。 「ここでなきゃぁ、どこだっていうんだ」 「ここじゃない、どこかだよ」  と翔が苦笑いしながら結羽の肩をポンポンと叩いた。それは、落ち着けよと言ってるようだった。  翔に当たってもしかたないのに、イラついていた。
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