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仕切り直し
そんな結羽を見て「とにかく乗って」と翔が促した。虎太郎も後部席に乗り込むと、これからどうしようかという話になった。結羽も少し冷静になっていた。
「すみません。どうやら僕の見込み違いだったようで、迷惑をおかけしました。今日のところは解散して、見落としがないかどうか検討し、仕切り直したいと思います」
「そうだね、でも結羽さん一人で背負い込まないで、帰りながら皆で考えようよ」
犬一の提案はありがたかった。自分では正しいと思っていても見落としや思い込みがあったかもしれない。いや、あったからこうして無駄骨を折ってしまったのだ。
そこで結羽はもう一度、昨日見聞きしたことを自分の見解を挟まずに話した。
「うん、その流れなら結羽の判断に辿り着くだろうね。それが違っていたとなると、再考の余地があるのは青木の家だな」
説明を聞いて翔がすぐに言った。
「青木の家には奥さんと子ども住んでいるんですよね。そこに美猫さんを連れて行くとして、どんな口実があれば家族が受け入れるんでしょう? 」
翔の考えを聞いて犬一が質問する。
「そうなんですよ。僕も青木の家は違うと削除した理由がそこなんです」
結羽も犬一と同様に翔の考えに疑問を抱いている。
「思い込みはそこなんだよ。青木の家は他にもあるかも知れない。そう考えれば再考の余地もあるだろ? 」
なるほど…… 犬一だけでなく皆が翔の言葉に納得していた。
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