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虎太郎が赤火鮎美から送られてきた青木の名刺画像をスマホ画面に表示した。
『フォトグラファー 青木蜻蛉
住所 奈良市鬼ヶ原5丁目23
電話 ×××-△△△-〇〇〇〇 』
となっていた。結羽はその住所にカンタたちと偵察に行っている。
「よし、電話してみるか」
言うが早いか翔がすぐに番号をタップしている。結羽が止めようとしたが遅かった。他の3人はどうするんだ? とばかりに不安そうに互いに目を合わせていたが、相手が電話口に出たのが分かると、ゴクリと息をのんだ。
「もしもし、青木さんのお宅ですか? 」
翔が堂々と尋ねている。
「はい、そうですがどちら様ですか? 」
「私、写真家仲間の鈴木と言いますが、ご主人は御在宅ですか? 」
「いえ、主人はまだ帰ってないんですよ」
「そうですか。またかけ直しますけど、何時ごろだといらっしゃいますか? 」
「それが、この数日はアトリエの方に行っていて今日も帰って来ないと連絡がありました」
一瞬、皆が顔を見合わせ頷いた。
「わかりました。ではアトリエの方に伺います。え~とご自宅の近くでしたよね」
「いえ、浜崎なので、家からだと車で30分位の所です」
「あぁそうでしたね。以前行ったことがあるのですが、念のために住所聞いてもいいですか? 」
奥さんは何の迷いもなく、住所を教えてくれた。
「獣医、辞めても探偵で食っていけるよ兄貴なら」
結羽が呆れながら褒めている。
「お前の食い扶持を荒らす気はないよ」
憎まれ口を言い合いながらも皆は、青木の住所を入手できたことに安堵していた。
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