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気を良くした翔が、出直すのは面倒だからこのまま浜崎まで確認しにいかないかと提案。
誰もが同じ気持ちだった。
「よ~し、では結羽! この住所をナビに入れて出発だ! 」
他人の気持ちを鼓舞できる兄を、今さらながら誇らしく思う結羽だった。
「鬼ヶ原でなくてよかったね」
犬一がぼそっと呟くと、誰もが思っていたことなので大笑いする。あそこは遠すぎる。行くのに決心がいるほどだ。
程なくしてナビが到着を知らせた。奥さんがアトリエと言っていたその建物は、民家風の戸建てでどちらかと言うと民宿と呼ぶ方がピンとくる。
入口からは中を見通しにくかったが、そこは皆訓練を受けた能力者ばかり。
透視能力が使える。だが、熟練者ではないのでうすぼんやりとしか見えてこない。
「いっそのこと、一斉に同じところを透視してみれば、見えないところも補い合えるかもしれない」
誰かが提案した。それはいいかもとなって、一斉に駐車場がありそうな西側の透視を試みた。
するとどうだろう! 見える! くっきりと門の向こう側に止まっている2台の車。
4人も揃えば透視力も強化されることが証明されたのだ。
「ちょっとそのまま透視を続けてください。車のナンバーを確認しますから」
結羽が急いでスマホの中の画像と照合した。
「ビンゴで~す」
結羽の言葉に、皆がオオゥ! と歓声を上げる。
「なら、天耳通はどうだろう。話し声が聞けるかもしれない」
犬一が顔を上気させて提案した。
「よし、それもやってみよう」
翔が声を上げると、4人が耳を傾けた。
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