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男性の声がする。誰かとしゃべっている。
「この猫みたいな名前の女、そろそろ目を覚ますんじゃないのか? 」
「トンボさん、猫みたいじゃなくて美猫ですから、いい加減覚えてくださいよ」
「面倒だから、猫でいいだろ。で、どうする? 目が覚めたら騒ぎ出すかもしれないから、さるぐつわでもしとくか? 」
「さすがにそれは可哀そうですよ。俺が騒がないように説得しますから」
「とかなんとか言って、蛍介! まさか、襲ったりしないだろうな 」
「そんなことしませんよ。大事な人質交換要員なんだから」
二人の乱暴な会話を聞いていた結羽が青くなったり赤くなったりして怒りに震えている。さるぐつわななんか噛ませられてたまるか!と地団太を踏む。
「大丈夫だよ、人質には手を出さないはずだから」
翔が根拠のない慰めを言う。
「しかし、これからどうしますか? 出直した方が確実に奪還できますけど、このままだと美猫さんが心配だし。かといってここで4人が車中泊すると言うのももどかしいですね」
犬一の言う通り、もどかしくてたまらない結羽が声を上げた。
「じゃあ、助っ人を呼んで夜中に踏み込むのはどうでしょう。相手も油断しているだろうから、小型の警察犬と警官1人くらいで何とかなるんじゃないですか」
「そうだな。明日になると、他の党員が合流して来るかも知れないから、2人しかいない今が踏み込み時かな」
翔が同意してくれたので、結羽のテンションも上がった。。
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