突入のとき

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  おしゃべりしているうちにウトウトして寝入ってしまったらしい。窓をトントンと叩く音で目が覚めた。  二人が戻って来たのだ。ドアを開けて交代しようとしたら「待って、そのまま乗ってて」と言う。  わけがわからず固まっていると、二人は後部座席に乗り込んだ。 「連絡が有ったんだ。夜中になるって話だったけど、龍矢さんが怒って人質の身にもなってくれと抗議したらしく、時間が早まった。悪いけど、近くに公園があるので用はそこで足してくれ。食料は買って来てるから」 「分かった。早まったんなら、良かった」  兄弟が公園で用を足して帰ろうとした時、いきなり美猫からテレパシーが入った。 【社長、今、目が覚めました。すでに移動してしまってました。ごめんなさい】 【美猫さん、大丈夫だ。移動先も分かったし、俺たち仲間がすぐ近くまで来て待機している。美猫さんは眠ってる振りをしていてくれ」】 【近くにいるんですね。良かったぁ。じゃあ私、眠った振りしています】  翔に美猫が目を覚まして連絡してきたことを伝えると、喜んだ。助け出す時に本人が動けるのと、誰かが抱えていくのとでは苦労が違う。 「結羽、踏み込んだらお前は一目散に美猫さんを捜すんだ。他のことは俺たちがやるから」 「うん、そうする」  だけど、あいつら2人だけは、絶対1発ずつ殴ってやると、結羽は密かに決めていた。
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